kitsunetohitoの日記

日々の不条理を漫然と見つめる、そんな男の苦楽

雨が降ると古傷が痛むのさ パート3

前回のあらすじ

美容室に置いてある雑誌が世間のスタンダードを作っているっぽい。知ってた?

 

 

 

ボッチだったからダサい服を着ていたのか、

ダサい服を着ていたからボッチだったのかは多分永久に解決しないとして、

 

でも確かに、

「金が無いから……」と言い訳していた学生時代よりかは幾分貯金がある以上、
このままじゃ『オシャレに気を使わない=厭世家』のレッテルを張られかねない。
俺を担当している美容師も、洒落たアロハシャツに宮川大輔が掛けているような

黒縁メガネをしてるし。何なのそのメガネ?


というか宮川大輔そっくりだね、アンタ。

 

 

……雑誌を読んでいる内に、俺も麦わら仕立ての中折れハットとかを被って、

淡い色のリネンのシャツとかを着て、
アンクルが見えるパンツとかを履かなきゃいけないような気がしてきた。

 

 

そのファッションを鏡に映った男に投射する……

 

 

 

 


いや、ぜってぇ似合わねぇ~!

 

 

スタイルはともかくだ。
雑誌に載ってる男の共通点はみんなイケメンだ。ボウズでも、

髭づらでも、くるくるパーマでも。
なんなら俺の隣の宮川大輔だってまあカッコいい部類に入るだろう。

そういう雰囲気出てるし。


そして、そんなイケメン達が洒落た服を着てアンニュイな

表情でポーズをキメる、

これはイケメンにしか許されない所業である

俺なんかがブルックリンの街頭で同じことやったら、ちょいとした暴動が起きるわ。
もっと言うと、俺の身長と体重は雑誌の男たちと比べてそんなに遜色は無い。
俺の兄貴から髪の毛と共にその遺伝子を頂戴したから不憫な兄だ)。
だからその辺はクリアーしているとして、

 

でもやっぱりだよ、男は。まぁ男に限らず女もか?

 

お兄ちゃん、その顔ちょーだい!

 

 

 

 

 

 

 

 


顔かぁ

 

 

 

 

整形でもするか?

 

 

 


そんなことを考えている内に矯正は終了したようだ。
観念して見たくない顔が写っている鏡を見ると、

 

 

おぉ、

 

真っ直ぐだけど斜めにふんわり!

 

宮川大輔が何時の間にかカットとブローして髪に少し癖をつけていて、

何だか妻夫木聡の髪形っぽくなった。こりゃいいな。
さっきまでと打って変わって何だか雰囲気的にも明るくなった俺。

 

俺「いいですねぇコレ」
宮川「ありがとうございますー。あ、後ろはこんな感じになってますー」
手鏡を出して後ろを映す。

 


ここで俺の頭および顔の形について。
分かりやすく言うと、つくしの穂先のような形状をしているのだ
で、加えて後頭部が絶壁のようになっている。
本来の後頭部の形というのは、丸みを帯びてやや膨らんだモノが理想的であるが、
悲しいことに俺のはそのふくらみが無くて

ストーンと首の後ろに続いている感じなのだ。

 

 

で、縮毛を矯正すると、


頭の後ろをスパーンと切り落とされたかのような仕上がりになっていたのだ

それはいいとして、よりにもよって宮川は前髪とトップ以外を結構チョキチョキ

切ってしまっていて、ワックスとかで後頭部のボリュームを作ることが出来ない状態

となっていたのだ。

 

 

 

俺「……あぁ、もう、バッチリです……」
宮川「ありがとうございますー」

 

 

 


店を後にし、すぐ近くに帽子の専門店があるのを思い出し、

すぐさま駆け込み目についた麦わら仕立ての中折れハットを被って、


「おばちゃん、これ気に入った! 値段いくらですか!?」
「それ? 4000円だよぉ」

 

 


帽子を小粋な角度に被って帰路へ。

雑誌のモデルの格好を思い出す。
淡い色のリネンのシャツは家にあったなぁ。
後はアンクルが見えるパンツを揃えればいいんだな?

 

 

 

 

 

 

アポジカ買うか。

 

 

 

 やっぱ顔かぁ